工場の配管やポンプ周辺から「カンカン」「ゴーッ」「ガタガタ」といった音が聞こえたり、配管が大きく揺れたりしていないでしょうか。
配管の異音・振動は、流体が流れることで発生する場合もありますが、ポンプの不具合、配管支持の緩み、圧力の急変、芯ずれ、配管内への空気混入などが関係している可能性もあります。
異音や振動を放置すると、継手やフランジからの漏れ、支持金物の破損、ポンプの故障などにつながることがあります。音が出ている部分だけで判断せず、ポンプから配管経路、バルブ、支持金物まで一体的に確認することが重要です。
この記事では、富山県の工場や施設で配管の異音・振動にお困りの方へ、主な原因、点検箇所、改修方法、工事業者へ相談する際の確認事項を解説します。
工場の配管で発生する異音・振動の特徴
異音や振動の状態は、原因を調べるための重要な手がかりになります。
たとえば、次のような症状があります。
- ポンプの運転中に「ゴーッ」「ジャリジャリ」という音がする
- バルブの開閉時に「ドン」「ガン」という衝撃音がする
- 蒸気を通し始めると「カンカン」と音がする
- 配管が細かく震えている
- 配管や支持金物が壁・床・架台に当たって音がする
- ポンプの起動・停止時だけ配管が大きく動く
- 特定の流量や運転条件で振動が強くなる
- 設備の増設や配管変更後から異音が発生した
- フランジや継手付近から漏れが発生している
いつ、どこで、どの設備を動かしたときに発生するのかを記録しておくと、原因調査を進めやすくなります。
工場配管から異音・振動が起こる主な原因
ポンプやモーターの不具合
配管の振動に見えても、実際にはポンプやモーターで発生した振動が配管へ伝わっている場合があります。
主な原因として考えられるのは次のとおりです。
- ポンプ軸やモーター軸の芯ずれ
- 軸受の摩耗や潤滑不良
- 羽根車の摩耗・破損・異物の付着
- 回転部分のバランス不良
- ポンプやモーターを固定するボルトの緩み
- 基礎や架台の劣化
- ポンプの運転条件が適正範囲から外れている
ポンプ付近で発生した振動は、接続されている配管を通じて離れた場所まで伝わることがあります。
ポンプ交換時の配管工事については、工場のポンプ交換で配管工事が必要になるケースとは?でも解説しています。
キャビテーションの発生
キャビテーションとは、ポンプ内部などで液体の圧力が低下し、気泡が発生・消滅する現象です。
発生すると、砂利が流れているような音や振動が生じることがあります。さらに状態が続くと、ポンプの能力低下や部品の損傷につながる可能性があります。
荏原製作所も、キャビテーションによって振動・騒音・流れの脈動、ポンプ能力の低下、部品の損傷が発生することを解説しています。
キャビテーションに関係する主な要因には、次のようなものがあります。
- 吸込側配管の詰まり
- ストレーナーの目詰まり
- 吸込側バルブの開度不足
- 吸込配管の口径不足
- 液面の低下
- 液温の上昇
- ポンプの選定や運転条件が合っていない
- 必要以上に流量を増やしている
**音が出ているからといって、すぐにポンプ本体だけを交換すればよいとは限りません。**吸込側を含む配管条件の確認が必要です。
配管内への空気混入
水や冷温水を送る配管内に空気が混入すると、流れが不安定になり、異音や振動が発生することがあります。
空気混入の原因としては、次のようなものが考えられます。
- 吸込側配管の接続不良
- 配管や継手からの空気の吸い込み
- エア抜きが十分にできていない
- 配管の高い位置に空気がたまっている
- タンク内の水位不足
- ポンプの呼び水不足
- 配管経路や勾配が適切でない
空気がたまっている場所だけでなく、空気がどこから混入しているのかを確認することが重要です。
ウォーターハンマー
ウォーターハンマーとは、配管内を流れる水などの速度や圧力が急激に変化し、衝撃音や振動が発生する現象です。
水配管では、バルブの急閉止やポンプの急停止などがきっかけになる場合があります。蒸気配管では、配管内にたまったドレンや蒸気の急激な凝縮が関係することがあります。
「ドン」「ガン」という強い音が発生し、配管が瞬間的に大きく動く場合は注意が必要です。
TLVは、蒸気・還水配管でウォーターハンマーが発生すると、配管や装置、建物が揺れ、ガスケット、バルブ、フランジなどが損傷する危険があると解説しています。
蒸気配管の場合は、次のような状態を確認します。
- 配管内にドレンが滞留していないか
- 配管に逆勾配やたるみがないか
- スチームトラップが正常に作動しているか
- バルブを急激に開閉していないか
- ドレン排出経路に問題がないか
- 蒸気と低温のドレンが合流していないか
ウォーターハンマーは原因によって対策が異なるため、音だけで判断せず、発生場所と運転条件を調べる必要があります。
蒸気配管の改修・更新については、食品工場の蒸気配管工事もご覧ください。
配管支持や支持金物の不具合
配管は、吊り金具、架台、ブラケット、バンドなどで支えられています。
支持金物に不具合があると、ポンプや流体から伝わる小さな振動でも配管が大きく揺れたり、周辺部材と接触して異音が発生したりすることがあります。
主な不具合は次のとおりです。
- 支持金物のボルトが緩んでいる
- 配管バンドが外れている
- 支持金物が腐食している
- 配管の重量に対して支持が不足している
- 支持間隔が広すぎる
- 配管と建物の間に隙間がなく接触している
- 設備増設後に配管重量が増えている
- 防振材が劣化している
- 熱による伸縮を妨げる固定方法になっている
支持を追加すれば必ず改善するとは限りません。固定する位置や方法によっては、配管に無理な力がかかる場合があります。
配管の重量、口径、材質、温度変化、振動の伝わり方を確認したうえで、支持方法を検討することが必要です。
ポンプと配管の芯ずれ
ポンプや設備機器と接続配管の位置が合っていない状態で、配管を無理に引き寄せて接続すると、フランジや機器に継続的な力が加わります。
その結果、次のような不具合につながる場合があります。
- 配管の振動
- フランジからの漏れ
- ガスケットの片当たり
- ボルトの緩み
- ポンプや機器への負担
- 接続部や溶接部の損傷
設備更新後やポンプ交換後に異音・振動が始まった場合は、新しい機器と既設配管の接続位置、口径、芯、支持方法を確認する必要があります。
流速や配管口径が合っていない
必要な流量に対して配管口径が小さい場合や、バルブを絞った状態で運転している場合は、流速が高くなり、流れによる音や振動が発生することがあります。
設備の増設後に同じ配管を使用している場合は、以前よりも流量が増えている可能性があります。
次のような箇所では、流れが乱れやすくなります。
- 急な曲がり部分
- 口径が急に変わる部分
- バルブの前後
- 分岐や合流部分
- ストレーナー周辺
- オリフィスなどで流路が狭くなる部分
異音が発生している箇所だけを交換するのではなく、配管口径、流量、圧力、バルブの開度、配管経路を含めて確認することが大切です。
配管の熱伸縮
蒸気配管、温水配管、冷温水配管などでは、温度変化によって配管が伸び縮みします。
熱伸縮を適切に逃がせない配管では、起動時や停止時に「パキッ」「カン」といった音が発生したり、配管や支持金物が動いたりすることがあります。
主な確認項目は次のとおりです。
- 配管の伸縮方向
- 固定点と支持点の位置
- 配管の曲がり部分
- 伸縮継手の状態
- 周辺の壁・床・設備との接触
- 保温材や外装材の干渉
- 設備の運転温度
熱伸縮を無理に固定すると、配管、継手、バルブ、機器接続部に負担が集中する可能性があります。
異音・振動を放置するリスク
工場配管の異音・振動を放置すると、次のような問題につながる可能性があります。
- フランジやねじ接続部からの漏れ
- ガスケットの損傷
- ボルトや支持金物の緩み
- 配管や溶接部の損傷
- バルブや計器の故障
- ポンプやモーターの劣化
- 配管と周辺設備の接触
- 生産設備や空調設備の停止
- 高温水や蒸気が漏れることによる事故
振動が小さくても、長期間繰り返されることで接続部や支持部分に負担が蓄積することがあります。
「以前から鳴っている音だから問題ない」と判断せず、音や振動が強くなった場合や、発生条件が変化した場合は早めに確認しましょう。
異音・振動を発見したときの初期対応
異音や振動を発見した場合は、無理に配管へ触れたり、運転中の機器を分解したりしないでください。
特に、高温・高圧の流体、蒸気、薬液などを扱う配管では、漏れや破損による危険があります。
まずは工場の安全手順に従い、次の情報を記録します。
- 発見した日時
- 発生している場所
- 音の種類と大きさ
- 振動している範囲
- ポンプや設備の運転状況
- バルブの開閉状況
- 圧力・温度・流量の変化
- 起動時、運転中、停止時のどこで発生するか
- 漏れや変色の有無
- 最近行った設備工事や配管変更
- 異音・振動が分かる動画や写真
異音を録音する場合は、設備へ近づきすぎず、安全な位置から記録することが重要です。
点検時に確認するポイント
配管の異音・振動を調査する際は、次のような箇所を確認します。
- 異音・振動が最も強い場所
- ポンプやモーターの運転状態
- ポンプと配管の接続位置
- フランジや継手からの漏れ
- ボルトや支持金物の緩み
- 配管と壁・床・架台との接触
- 配管内への空気混入
- バルブの開度と作動状態
- ストレーナーの詰まり
- 配管の口径と流量
- 配管の勾配やたるみ
- 蒸気配管のドレン排出状態
- 設備増設や配管変更の履歴
- 起動・停止時の圧力変化
- 周辺設備から振動が伝わっていないか
異音が聞こえる場所と、原因が発生している場所が同じとは限りません。
音が出ている箇所だけでなく、配管系統全体と接続設備を確認することが重要です。
原因に応じた主な改修方法
支持金物の補修・追加
支持金物の緩みや劣化が原因の場合は、ボルトの締め直し、支持金物の交換、支持位置の変更、架台の補強などを検討します。
ただし、むやみに固定箇所を増やすと、熱伸縮を妨げたり、別の場所へ負担を移したりする可能性があります。
配管経路や口径の見直し
配管経路、流量、口径が異音・振動に関係している場合は、配管の部分交換、口径変更、曲がり部分の見直し、バルブ位置の変更などを検討します。
設備増設によって使用条件が変わっている場合は、既設配管の能力が足りているかも確認します。
ポンプ周辺配管の改修
ポンプと配管の芯ずれや接続部分の負荷が原因の場合は、配管の製作し直し、フランジ位置の調整、支持方法の変更などが必要になる場合があります。
ポンプだけでなく、吸込側と吐出側の配管、バルブ、ストレーナー、逆止弁なども確認します。
防振対策
設備から配管へ振動が伝わっている場合は、防振材、防振架台、可とう継手などを使用する方法があります。
ただし、使用する流体、温度、圧力、変位量、設置環境に合った部材を選定する必要があります。
防振部材を取り付けるだけで原因そのものが解消するとは限らないため、先に振動の発生源を確認することが大切です。
ドレン排出や配管勾配の改善
蒸気配管のウォーターハンマーが疑われる場合は、ドレンの滞留箇所、配管勾配、スチームトラップ、ドレン排出経路などを確認します。
TLVも、蒸気配管ではドレンを速やかに排出し、逆勾配や滞留を防ぐことが重要と説明しています。
部分補修と配管更新の判断基準
部分補修を検討できるケース
次のように、不具合の範囲と原因が限定されている場合は、部分補修で改善できる可能性があります。
- 支持金物の一部が緩んでいる
- 一部分だけ配管が周辺設備と接触している
- 特定のフランジや継手に不具合がある
- 局所的な芯ずれが確認できる
- 一部のバルブやストレーナーに問題がある
- 不具合箇所と原因を明確に特定できる
配管更新・経路変更を検討するケース
次のような場合は、部分補修だけでなく、配管の更新や経路変更を検討します。
- 複数の場所で異音・振動が発生している
- 支持金物や配管の劣化が広範囲に進んでいる
- 同じ場所で漏れや緩みを繰り返している
- 配管口径が現在の流量に合っていない
- 設備増設後から不具合が発生している
- ポンプ交換後に配管へ無理な力がかかっている
- 配管全体にたるみや不適切な勾配がある
- 既設配管の改修を繰り返して経路が複雑になっている
- 設備停止期間に合わせて配管を整理したい
配管交換の判断については、配管交換が必要なサインとは?でも詳しく解説しています。
工事業者へ相談するときに伝える情報
工事業者へ相談する際は、次の情報を整理しておくと現場確認を進めやすくなります。
- 工場や施設の所在地
- 異音・振動が発生している設備
- 配管の用途と流体
- 配管の材質・口径
- 使用温度・圧力・流量
- 発生した時期
- 発生する時間帯や運転条件
- ポンプや設備の型式
- 配管図面や設備図面の有無
- 過去の補修・設備更新履歴
- 異音や振動が分かる動画・写真
- 希望する工事時期
- 設備を停止できる時間
- 高所作業や衛生管理などの現場条件
図面がない場合でも、現場写真、動画、設備の型式、発生状況などが原因調査の手がかりになります。
富山県で工場配管の異音・振動にお困りの方へ
株式会社椎名設備工業では、富山県・石川県を中心に、工場・各種施設の空調配管、溶接配管、プラント配管などの配管工事を行っています。
配管の製作・加工・取付をはじめ、設備更新に伴う接続配管の改修、既設配管の部分補修・更新など、現場の条件を確認したうえで施工方法を検討します。
異音や振動が発生している場合は、音が出ている部分だけでなく、ポンプ、バルブ、フランジ、支持金物、配管経路などを確認することが大切です。
対応している工事については業務内容を、これまでの工事については施工実績をご覧ください。
よくある質問
- 配管から異音がしますが、すぐに運転を止める必要がありますか?
-
異音の原因や設備の状態によって異なります。強い衝撃音、急激な振動、漏れ、焦げた臭い、圧力の異常などがある場合は、工場の安全手順に従って設備管理者へ報告してください。高温・高圧の配管には不用意に近づかないことが重要です。
- 支持金物を追加すれば振動は止まりますか?
-
支持不足が原因であれば改善する可能性があります。ただし、ポンプの不具合、芯ずれ、キャビテーション、ウォーターハンマーなどが原因の場合は、支持金物の追加だけでは解決できません。
- ポンプ交換後に配管が振動するのはなぜですか?
-
新旧ポンプの接続位置や運転条件の違い、配管との芯ずれ、支持方法、流量の変化などが関係している可能性があります。ポンプ本体だけでなく、吸込側・吐出側の配管を含めて確認する必要があります。
- 異音の動画だけでも相談できますか?
-
動画や写真は発生状況を確認するための手がかりになります。ただし、音だけでは原因を特定できない場合があるため、設備の運転条件や配管経路を含む現場確認が必要になることがあります。
- 工場の稼働を止めずに点検できますか?
-
目視確認や状況の聞き取りなど、稼働中に実施できる確認もあります。一方、カバーの取り外し、配管の補修、ポンプ周辺の作業などには設備停止が必要になる場合があります。現場の安全条件を確認したうえで点検方法を検討します。
まとめ
工場配管の異音・振動には、ポンプやモーターの不具合、キャビテーション、空気混入、ウォーターハンマー、支持金物の緩み、配管の芯ずれ、流速、熱伸縮など、さまざまな原因が考えられます。
異音が聞こえる場所と、原因が発生している場所が一致するとは限りません。音が出ている部分だけでなく、ポンプ、バルブ、フランジ、支持金物、配管経路を含めて確認することが重要です。
異音・振動が強くなっている場合や、漏れ、圧力変化、設備性能の低下を伴う場合は、放置せず早めに点検を検討しましょう。
富山県・石川県で工場配管の異音・振動に伴う補修、改修、更新工事をご検討の方は、株式会社椎名設備工業のお問い合わせページよりご相談ください。

