工場の空調設備は、空調機器だけで稼働しているわけではありません。冷媒や冷温水を循環させる配管、結露水を排出する配管などが正しく施工されて、初めて安定した冷暖房が可能になります。
空調配管の種類や役割は、採用している空調方式、工場の広さ、生産設備の配置、必要な温度管理などによって異なります。
配管の口径、経路、勾配、保温処理などに問題があると、空調能力の低下、水漏れ、結露、異音などが発生する可能性があります。生産設備の増設や配置変更に伴い、既存の空調配管では対応できなくなるケースもあります。
この記事では、富山県で工場の空調配管工事を検討している方に向けて、冷媒配管、冷温水配管、ドレン配管などの種類と役割、新設・増設・更新時に確認したいポイントを解説します。
工場の空調配管とは
空調配管とは、空調設備の運転に必要な冷媒、冷水、温水、結露水などを運ぶための配管です。
工場では、建物全体の冷暖房だけでなく、作業環境の改善、生産設備から発生する熱への対策、製品や原材料の温度管理など、さまざまな目的で空調設備が使用されています。
そのため、一般的な住宅や小規模な店舗よりも配管が長くなったり、複数の空調機器を接続したりすることがあります。
工場の空調設備で使用される主な配管は次のとおりです。
| 配管の種類 | 主な役割 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 冷媒配管 | 室内機と室外機の間で冷媒を循環させる | 配管径、長さ、高低差、接続、保温 |
| 冷温水配管 | 冷水や温水を空調機器へ送る | 材質、口径、流量、圧力、保温 |
| ドレン配管 | 空調機器で発生した結露水を排出する | 勾配、詰まり、排水能力、保温 |
| 排気設備まわりの配管 | 熱・蒸気・臭気などを処理する設備につなぐ | 使用環境、配管経路、既設設備との接続 |
必要な配管は、空調設備の方式や工場の使用条件によって変わります。
冷媒配管の役割
冷媒配管は、室内機と室外機の間で冷媒を循環させるための配管です。個別空調やパッケージエアコンなどで使用され、一般的には銅管が用いられます。
冷媒配管を施工するときは、使用する空調機器の仕様に合わせて、配管径、長さ、高低差、分岐方法などを確認します。
配管の接続や施工状態に問題があると、次のような不具合につながる可能性があります。
- 空調の効きが悪くなる
- 冷房や暖房の立ち上がりが遅くなる
- 空調機器にエラーが表示される
- 接続部分から冷媒が漏れる
- 配管表面に結露が発生する
- 運転効率が低下する
冷媒配管には、周囲との温度差による結露や熱の影響を抑えるため、保温処理も必要です。
空調設備を交換するときは、既設の冷媒配管をそのまま使用できるとは限りません。新しい機器の仕様、配管径、使用する冷媒、配管内部の状態などを確認して、再使用または更新を判断します。
冷温水配管の役割
冷温水配管は、熱源機器で作られた冷水や温水を、空調機器や熱交換器などへ送るための配管です。
大型の工場や施設では、熱源機器から複数の場所へ冷温水を供給する方式が採用されることがあります。
冷温水配管を計画するときは、主に次の条件を確認します。
- 冷水・温水の温度
- 必要な流量
- 配管内の圧力
- 配管の材質と口径
- ポンプの能力
- バルブや計器の設置場所
- 配管経路と高低差
- 保温材の種類と施工状態
- 将来の点検や交換のしやすさ
必要な流量に対して配管径が適切でない場合や、配管内部に汚れや腐食がある場合は、空調能力に影響することがあります。
冷水配管は配管表面が結露しやすいため、保温材の破損や継ぎ目の隙間にも注意が必要です。
ドレン配管の役割
ドレン配管は、冷房運転によって空調機器の内部で発生した結露水を、排水先まで運ぶための配管です。
ドレン水を自然に流す方式では、排水先に向かって適切な勾配を確保します。配管にたるみや逆勾配があると、水が途中にたまり、排水不良を起こす可能性があります。
主な不具合の原因は次のとおりです。
- 配管内部の汚れや異物による詰まり
- 配管の勾配不足
- 配管のたるみや変形
- 継手の外れや破損
- ドレンポンプの不具合
- 排水能力の不足
- 保温材の破損による結露
- 空調設備増設後の排水量増加
ドレン配管の不具合を放置すると、室内機や天井から水が漏れ、製品、生産設備、電気設備などに影響するおそれがあります。
詳しい原因と対処方法については、空調ドレン配管の水漏れはなぜ起こる?工場で多い原因と改修方法【富山県】をご覧ください。
排気設備まわりの配管
工場内では、生産工程や設備から熱、蒸気、臭気、油分を含んだ空気などが発生することがあります。
空調機器だけで室内環境を調整しようとしても、発生する熱や空気を適切に排出できなければ、十分な効果を得られない場合があります。
そのため、工場の空調を検討するときは、給気・排気設備や生産設備まわりの配管も含めて確認することが重要です。
排気設備まわりでは、次のような条件を確認します。
- 発生する熱や蒸気の量
- 排出する空気の性質
- 生産設備の運転時間
- 排気口までの経路
- 既設の給気・排気設備
- 周辺設備との取り合い
- 点検や清掃の方法
工場の用途や作業環境に合わせて、空調と給排気のバランスを考える必要があります。
空調方式によって必要な配管は異なる
工場で使用する空調配管は、採用している空調方式によって異なります。
室内機と室外機を冷媒配管で接続する方式では、冷媒配管とドレン配管が必要です。
熱源機器で作った冷水や温水を各空調機器へ送る方式では、冷温水配管やドレン配管が使用されます。
空調設備の一部だけを交換する場合でも、既設配管が新しい設備に対応しているか確認しなければなりません。
設備の能力だけで判断せず、次の項目を含めて確認します。
- 現在の空調方式
- 空調する範囲
- 必要な冷暖房能力
- 室内機と室外機の位置
- 熱源機器やポンプの状態
- 既設配管の種類
- 配管の口径と経路
- 設備の使用年数
- 今後の増設予定
工場の空調配管が一般建物と異なる点
配管経路が長くなりやすい
工場は建物や作業区域が広く、室内機と室外機、熱源機器などの距離が長くなることがあります。
配管が長くなる場合は、設備の仕様上認められている長さや高低差、圧力損失、配管支持などを確認します。
天井が高く高所作業が発生する
工場では、配管が高い位置に設置されていることがあります。
高所での新設・改修には、作業床、高所作業車、周囲の立入管理など、現場に応じた安全対策が必要です。
生産設備との取り合いがある
工場内には、空調配管以外にも、給排水配管、蒸気配管、エア配管、電気配線、ダクトなどが設置されています。
新しい配管を通すときは、生産設備や既設配管と干渉しない経路を検討しなければなりません。
設備の操作、点検、部品交換などに必要なスペースをふさがないことも重要です。
工場の稼働に合わせた施工が必要になる
空調配管の接続や切替を行う際、一時的に空調設備を停止しなければならない場合があります。
空調停止が製品、生産工程、作業環境へ与える影響を確認し、設備停止期間や休日に合わせて施工を計画します。
使用環境の影響を受ける
工場内では、熱、湿気、油、粉じん、薬品、水洗いなどの影響を受ける場所があります。
配管の材質、保温材、支持方法などは、設置場所の環境を確認したうえで検討する必要があります。
富山県の工場で確認したい設置条件
富山県では、冬季の積雪や低温、夏季の高温多湿などを考慮して空調配管を計画する必要があります。
屋外に空調配管や室外機を設置する場合は、次の点を確認します。
- 積雪によって設備や配管が埋もれないか
- 屋根からの落雪の影響を受けないか
- 雨水や雪解け水がたまらないか
- 凍結する可能性がないか
- 点検や修理を行うための通路を確保できるか
- 保温材や外装材が劣化していないか
- 配管支持部分に変形や緩みがないか
屋内でも、外気との温度差や湿度によって結露が発生することがあります。配管の使用条件に合った保温と、隙間のない施工が重要です。
新設時に確認するポイント
工場へ空調配管を新設するときは、現在の設備配置だけでなく、将来の点検や生産設備の変更も考慮します。
配管を通す経路
配管経路は、距離が短ければよいとは限りません。
既設設備との干渉、高所作業のしやすさ、点検スペース、配管支持の位置などを確認し、施工後も管理しやすい経路を検討します。
配管の材質と口径
配管の材質と口径は、流体の種類、温度、圧力、必要な流量、使用する空調設備などに合わせて選定します。
既設配管へ接続するときは、接続先の配管仕様や状態も確認が必要です。
勾配と排水先
ドレン配管では、排水先まで水が正常に流れる勾配を確保します。
配管を長くしたり、複数の空調機器を同じ排水経路へ接続したりする場合は、排水能力も確認します。
保温処理
冷媒配管や冷温水配管では、結露と熱損失を抑えるために保温材を施工します。
継手、バルブ、支持金具の周辺などは隙間が生じやすいため、配管全体を確認する必要があります。
配管の支持
配管は、材質、口径、重量、設置場所などに合わせて支持します。
支持間隔が適切でない場合は、配管のたわみ、振動、勾配の変化などにつながることがあります。
増設時に確認するポイント
生産設備や作業区域の追加に伴い、空調設備を増設する場合があります。
増設時は、新しい空調機器の配管だけでなく、既設設備に余裕があるかを確認することが重要です。
- 電源や空調能力に余裕があるか
- 既設配管へ接続できるか
- 冷温水の流量を確保できるか
- ポンプの能力が足りているか
- ドレン配管の排水能力が足りているか
- 新しい配管経路を確保できるか
- 既設設備の運転に影響しないか
既設配管へ安易に接続すると、一部の空調機器で能力不足や排水不良が起こる可能性があります。
増設する設備だけでなく、空調システム全体を確認して判断します。
更新・改修時に既設配管を確認する理由
空調機器を更新するときに既設配管を使用できれば、工事範囲を抑えられる場合があります。
ただし、既設配管は外観だけでなく、仕様や内部の状態も確認しなければなりません。
主な確認項目は次のとおりです。
- 新しい空調機器の仕様に適合しているか
- 配管径や配管長に問題がないか
- 腐食、変形、損傷がないか
- 接続部分から漏れた形跡がないか
- 配管内部に汚れや異物が残っていないか
- 保温材が劣化していないか
- 配管支持に緩みや変形がないか
- ドレン配管の勾配と排水能力に問題がないか
- 将来も点検できる配管経路になっているか
一部分だけに不具合がある場合は部分補修、劣化や施工上の問題が広範囲にある場合は配管全体の更新を検討します。
空調配管の点検を検討したい症状
次のような症状がある場合は、空調機器だけでなく配管にも不具合がないか確認しましょう。
- 空調の効きが以前より悪い
- 室内機や天井から水が漏れる
- 配管表面に水滴が発生している
- 天井や壁に水染みがある
- 保温材が破れている
- 配管や継手に腐食が見られる
- 空調運転中に異音や振動が発生する
- ドレン排水口から水が出ていない
- 空調機器にエラーが表示される
- 一部の区域だけ温度が安定しない
空調能力の低下や水漏れには複数の原因があります。目に見える箇所だけを補修せず、空調機器から排水先までの経路や、設備全体の運転状況を確認することが重要です。
配管の部分補修と全体更新の考え方
部分補修を検討できるケース
不具合箇所が限定され、ほかの配管に大きな劣化が見られない場合は、部分補修で改善できる可能性があります。
- 一部の継手に漏れがある
- 保温材の一部分だけが破損している
- ドレン配管の一部が詰まっている
- 局所的なたるみや支持不良がある
- 不具合の原因と範囲を特定できる
全体更新を検討するケース
配管全体の劣化や施工上の問題がある場合は、一部分だけを直しても不具合を繰り返す可能性があります。
- 複数箇所で漏れや結露が発生している
- 配管や継手の劣化が広範囲に見られる
- 保温材が全体的に劣化している
- 空調設備の更新後に能力不足が生じている
- 配管の口径や経路が現在の設備に合っていない
- ドレン配管全体に勾配不良がある
- 点検や補修が困難な経路になっている
- 設備増設によって既設配管の能力が不足している
今ある不具合を直すだけでなく、今後の点検や設備更新を行いやすい配管にすることも重要です。
空調配管工事の相談前に整理したい情報
現地調査や施工方法の検討を進めやすくするため、相談前に次の情報を整理しておきましょう。
- 工場の所在地
- 空調設備のメーカーと型式
- 室内機・室外機の台数
- 設備のおおよその使用年数
- 冷媒配管・冷温水配管・ドレン配管の種類
- 新設、増設、移設、更新などの目的
- 現在発生している不具合
- 不具合が発生する時期や頻度
- 配管図面や設備図面の有無
- 空調設備を停止できる日時
- 高所作業や火気使用に関する現場条件
- 今後予定している設備の増設や配置変更
- 希望する工事時期
- 空調設備と配管周辺の写真
図面がない場合でも、設備の型式、設置場所、配管経路、周辺状況の写真などが現場確認の手がかりになります。
富山県で工場の空調配管工事をご検討の方へ
株式会社椎名設備工業では、富山県・石川県を中心に、工場、各種施設、事業所の空調配管工事を行っています。
冷媒配管、冷温水配管、ドレン配管、排気設備まわりの配管について、設計・図面確認、製作・加工、現場取付、改修・更新まで対応しています。
既設設備との取り合い、稼働中の工場、限られた作業スペースなど、現場ごとの条件を確認したうえで施工方法を検討します。
対応している配管工事については、株式会社椎名設備工業の業務内容をご覧ください。
これまでの工事については、施工実績から確認できます。
よくある質問
- 空調機器を交換せず、配管だけ更新できますか?
-
配管だけを更新できる場合もあります。ただし、空調機器の状態、配管の種類、使用している冷媒、接続方法などを確認する必要があります。
- 古い冷媒配管は再使用できますか?
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新しい空調機器の仕様、配管径、長さ、劣化状態、内部の汚れなどによって判断します。外観に問題がない場合でも、必ず再使用できるとは限りません。
- ドレン配管だけ改修できますか?
-
水漏れや排水不良の原因がドレン配管にある場合は、詰まりの除去、勾配の修正、部分的な配管交換、排水経路の変更などを検討します。
- 空調設備を増設するときは配管も交換しますか?
-
既設配管の口径、能力、劣化状態などによって異なります。既設配管に余裕がない場合は、新しい配管の設置や既設配管の更新が必要です。
- 工場を稼働したまま工事できますか?
-
工事範囲や設備の状況によっては、稼働区域を分けて施工できる場合があります。ただし、配管の接続や切替時には空調設備の停止が必要になることもあります。
- 配管図面がなくても相談できますか?
-
図面がない場合でも相談できます。空調設備の型式や設置場所、配管経路などを現地で確認し、必要な工事内容を検討します。
まとめ
工場の空調設備では、主に冷媒配管、冷温水配管、ドレン配管などが使用されています。それぞれ流すものや役割が異なるため、設備の仕様と工場の使用条件に合わせた施工が必要です。
空調配管の口径、経路、勾配、接続、保温、支持などに問題があると、空調能力の低下、水漏れ、結露、異音などにつながる可能性があります。
空調設備を新設・増設・更新するときは、機器だけでなく、既設配管の状態や排水能力、将来の点検方法まで確認しましょう。
富山県・石川県で工場の空調配管の新設、増設、改修、更新をご検討の方は、株式会社椎名設備工業のお問い合わせページよりご相談ください。

