食品工場では、加熱、殺菌、洗浄、乾燥など、さまざまな工程で蒸気が利用されています。
蒸気を必要な設備へ安定して送るためには、使用する温度や圧力、必要な蒸気量、配管経路、ドレンの排出方法などを確認したうえで、現場条件に合った配管を施工することが重要です。
蒸気漏れや配管の腐食、異音、振動などを放置すると、設備の性能低下や生産工程への影響につながる可能性があります。
この記事では、富山県で食品工場の蒸気配管工事を検討している方へ、主な工事内容、改修・更新を検討したい症状、施工会社へ依頼する際の確認ポイントを解説します。
食品工場における蒸気配管の役割
蒸気配管は、ボイラーなどで発生させた蒸気を工場内の設備へ送るための配管です。
食品工場では、製造する食品や設備によって異なりますが、主に次のような用途で蒸気が使用されます。
- 原材料や製品の加熱
- 調理・煮沸
- 殺菌
- 洗浄
- 乾燥
- 給湯
- 空調・加湿
- 製造設備の温度管理
蒸気は熱を効率的に運べる一方、高温・高圧になる場合があります。そのため、配管の材質や口径だけでなく、バルブ、継手、フランジ、スチームトラップ、支持金物、保温などを含めて検討する必要があります。
食品工場の蒸気配管工事で確認すべきこと
使用する温度と圧力
蒸気配管の仕様を決めるうえで、使用温度と圧力の確認は欠かせません。
設備側で必要な条件に対して配管口径が適していない場合、圧力低下や蒸気不足が生じ、設備本来の性能を発揮できない可能性があります。
既存設備へ新しい配管を接続する場合は、ボイラー側の能力、既設配管の状態、接続する設備の仕様を確認します。
蒸気量と配管口径
配管口径は、必要な蒸気量や圧力、配管の長さなどを踏まえて検討します。
口径が適切でない場合、圧力損失、騒音、設備能力の低下などにつながることがあります。設備の増設や製造量の変更を行う場合は、既存配管のままで必要な蒸気量を確保できるか確認することが重要です。
ドレンの排出
蒸気が配管内で熱を失うと、ドレンと呼ばれる凝縮水が発生します。
ドレンが配管内に滞留すると、熱効率の低下だけでなく、異音や振動、ウォーターハンマーの原因になる場合があります。
蒸気設備の専門メーカーであるTLVも、蒸気輸送管のウォーターハンマー対策では、適切なスチームトラップの設置とドレンの確実な排出が重要だと説明しています。
配管の勾配と経路
蒸気配管では、発生したドレンを適切な位置へ流すため、配管の勾配や経路も重要です。
既設設備、梁、ダクト、電気設備などを避けることだけを優先すると、配管に逆勾配や不要な高低差が生じる場合があります。
現地調査では、設備との接続位置だけでなく、配管支持、点検スペース、将来の交換作業まで考慮して経路を検討します。
熱による伸縮と配管支持
蒸気配管は、運転時の温度上昇によって伸び、停止して温度が下がると縮みます。
この熱伸縮を考慮せずに配管を固定すると、配管や接続部分、支持金物などに負担がかかる可能性があります。
既設配管を改修する場合も、配管の変形、支持金物の緩み、接続部分への負担などを確認する必要があります。
保温の状態
蒸気配管には、熱損失や接触によるやけどの危険を抑えるため、保温施工が行われることがあります。
保温材の破損、濡れ、剥がれ、外装材の変色などがある場合は、配管表面の腐食や蒸気漏れが隠れている可能性があります。
外観だけで判断せず、必要に応じて保温材の内部も含めて状態を確認します。
蒸気配管と食品に接する配管の違い
食品工場内にある配管が、すべて同じ仕様になるわけではありません。
ボイラーから設備へ熱源として蒸気を送る配管と、食品、原料、飲料、洗浄水などが直接流れる配管では、用途と求められる条件が異なります。
食品に接する配管では、洗浄性、材質、接続方法、配管内部の仕上げなどについて、工場や設備ごとの仕様を確認する必要があります。
一方、熱源として使用する蒸気配管では、温度、圧力、ドレン排出、熱伸縮、保温、安全性などが主な検討項目になります。
工事を依頼する際は、配管内を流れるものと使用目的を施工会社へ正確に伝えることが重要です。
食品工場特有の施工上の注意点
食品工場では、配管そのものの施工品質に加えて、製造環境への配慮が必要です。
異物や粉じんへの対策
既設配管の撤去、切断、研磨、溶接などでは、粉じんや金属片が発生する可能性があります。
施工区域の区分、周辺設備の養生、工具や資材の管理、作業後の清掃などについて、工場の衛生管理ルールを事前に確認します。
工場独自の衛生管理への対応
食品工場では、製造する食品や工程に合わせて衛生管理計画が定められています。
厚生労働省が公開しているHACCPの手引きでも、危害要因を把握し、衛生管理を計画・実行・記録して改善につなげる考え方が示されています。
参考:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引き|厚生労働省
配管工事を行う際も、入場方法、服装、資材の持ち込み、養生、作業後の清掃など、工場ごとのルールを確認することが大切です。
生産工程への影響
稼働中の食品工場では、設備を停止できる時間が限られる場合があります。
施工会社と打ち合わせる際は、次の内容を整理しておきましょう。
- 停止できる設備
- 停止可能な曜日と時間
- 蒸気供給を止められる範囲
- 製造設備の洗浄予定
- ほかの工事との重複
- 試運転を行える時間
- 工事後に必要な清掃や確認
現地での作業時間を短縮するため、事前に配管を製作・加工し、停止時間中に撤去・取付を進める方法もあります。
改修・更新を検討したい症状
蒸気配管に次のような症状が見られる場合は、点検や改修を検討する必要があります。
- 配管や継手から蒸気が漏れている
- 配管表面にサビや変色がある
- 保温材が濡れている
- バルブやフランジ周辺から漏れがある
- 配管から衝撃音や振動音がする
- 設備の立ち上がりに時間がかかる
- 必要な温度や圧力を維持できない
- 同じ場所で補修を繰り返している
- 支持金物が緩んでいる
- 設備増設後から蒸気供給が不安定になった
異音や振動が発生している場合は、ドレンの滞留、配管勾配、スチームトラップ、バルブなど、配管系統全体を確認することが重要です。
部分補修と配管更新の判断
蒸気漏れが発生した場合でも、すべての配管を交換するとは限りません。
不具合が限定的で、周辺配管の状態に問題がなければ、継手、バルブ、フランジなどの部分補修で対応できる場合があります。
一方で、配管全体に腐食が見られる場合や、複数箇所で漏れを繰り返している場合は、一定範囲の更新を検討します。
判断する際は、次の点を確認します。
- 不具合の発生箇所
- 配管の使用年数
- 腐食の範囲
- 過去の補修履歴
- 使用温度と圧力
- 設備の使用頻度
- 今後の設備更新計画
- 工事による生産への影響
一般的な工場配管の更新時期については、工場の配管更新はいつ必要?劣化サイン・工事方法・停止時間を解説でも紹介しています。
蒸気配管工事を依頼する前に準備したい情報
施工会社へ相談する際は、次の情報があると確認がスムーズです。
- 工場の所在地
- 蒸気を使用する設備
- 現在発生している症状
- 蒸気の温度・圧力
- 必要な蒸気量
- 配管の材質と口径
- 新設・補修・更新の区分
- 図面や仕様書の有無
- 現場写真
- 工事希望時期
- 設備を停止できる時間
- 工場内の衛生管理ルール
すべての情報がそろっていない場合でも、分かる範囲を伝えたうえで、現地調査の必要性を確認しましょう。
施工会社を選ぶ際の確認ポイント
食品工場の蒸気配管工事を依頼する際は、見積金額だけでなく、次の点も確認しましょう。
- 工場配管の施工経験があるか
- 蒸気配管の施工に対応しているか
- 現地調査を行ったうえで施工方法を検討するか
- 配管の製作・加工から現場取付まで対応できるか
- 工場の稼働予定に合わせて工程を調整できるか
- 安全管理と衛生管理について打ち合わせできるか
- 見積書に工事範囲が明記されているか
- 工事後の確認内容や提出書類が明確か
使用する材料、保温、既設配管の撤去、試運転、廃材処分などが見積もりに含まれているかも確認しておくと安心です。
食品工場における椎名設備工業の施工実績
株式会社椎名設備工業では、富山県・石川県を中心に、工場・各種施設の配管工事を行っています。
食品工場では、衛生配管工事および蒸気配管工事の施工実績があります。
図面や現場条件を確認し、配管の製作・加工から現場での取付まで、工事内容に応じて対応方法を検討します。
そのほかの工事については、施工実績をご覧ください。
よくある質問
工場を稼働したまま工事できますか?
施工箇所や工事内容によって異なります。
蒸気供給の停止が必要な作業と、稼働中でも進められる準備作業を整理し、工場の生産予定に合わせて工程を検討します。
図面がない場合でも相談できますか?
図面がない場合でも、現場の状況や分かる範囲の情報をもとに相談できます。
既設配管の経路、口径、接続位置、周辺設備などを現地で確認し、必要な工事内容を整理します。
蒸気漏れがある場合、部分補修で直せますか?
漏れの原因や腐食範囲によって異なります。
不具合が限定的であれば部分補修で対応できる場合がありますが、周辺にも劣化が進んでいる場合は、一定範囲の配管更新が必要になることがあります。
設備の増設に伴う配管工事も相談できますか?
既存設備の状況、必要な蒸気量、ボイラーや配管の能力などを確認したうえで、接続方法や配管経路を検討します。
まとめ
食品工場の蒸気配管工事では、温度、圧力、蒸気量、配管口径、ドレン排出、勾配、熱伸縮、保温などを確認する必要があります。
さらに、食品工場では、異物や粉じんへの対策、工場独自の衛生管理、生産工程への影響にも配慮しなければなりません。
蒸気漏れ、腐食、異音、振動、圧力低下などが見られる場合や、設備の増設を予定している場合は、配管系統の状態を早めに確認することが大切です。
株式会社椎名設備工業では、富山県・石川県を中心に、工場の蒸気配管工事、既設配管の改修・更新、配管の製作・加工・取付に関するご相談を承っています。
現場の状況や工事時期が決まっていない段階でも、分かる範囲でお問い合わせください。

